さよならシガレット
詞・曲 山本斉
いつでも君の左手には そいつがゆらゆら揺れていた
紫の煙に囲まれて 僕はしょっちゅうむせていた
それでも君は大人の顔で 何にもないようにすましてた
燃えて灰になって落ちるまで 僕らは二人で暮らしてた
僕がマッチを擦れなくなって 君はどこかへいってしまった
二人の部屋を満たしていた いつもの煙も散ってしまった
空気の薄くなった部屋で 君の幻を追っていた
いつしか僕は左手で いつものそいつを持っていた
さよならシガレット 煙とともに消えた君
さよならシガレット 真っ赤に燃えていた日々
小さな炎が揺れている 君はそばにはいないけど
さよならシガレット
湿ったマッチをいくら擦っても 心の炎は灯らなかった
どれだけ煙を吐き出してみても 僕の想いは届かなかった
部屋は煙で満たされたけど 君はどこにもいなかった
いつしか僕の友だちは 左手にだけにしかいなかった
さよならシガレット 君の代わりを求めてた
さよならシガレット 煙が消えるのを怖れてた
僕は少しも気がつかなかった 部屋を満たしていたのは君だけと
さよならシガレット
彼女が僕に残したものは 幻なんかだけじゃなかったはずだ
愛し愛される喜びを あのときからずっと忘れてた
新しいマッチ売りがやって来て 僕の心に火を点けた
彼女の幻にさよならを 左手の友だちに別れを告げた
さよならシガレット もう一度取り戻そう
さよならシガレット この手でつかめるものを
新しいマッチを擦って新しく始めよう 何かが待ってる未来へと
さよならシガレット
|